求日语作文!题目是《冬休みの出来事》300字就可以。全篇用简体。采纳后加悬赏! 30
2016-02-17
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冬休みの出来事
冬休みになり、翼の生活は、アパートと水族馆を行き来するだけになった。鱼の世话というのは意外に大変なもので、水族馆が休みであろうと水质のチェックをすることは欠かせない。それに加えて普段はできない部分の扫除や水草の手入れなど、やることはいくらでもあった。
「饵は二、三日やらなくてもどうってことはないんだよ」
崇はそう言って、逆に与えすぎるほうが良くないことを教えた。食べ残しで早く水质が悪化するのだそうだ。
「目の前に一杯弁当があっても、食べきれないだろ?残しておいても腐っていってしまうしさ。それと同じだよ」
なるほど、と翼でもすぐに纳得できる说明をしてくれる。普段はバイト同士で水槽の扫除をしていて、その时にいろいろ鱼の知识を分けてもらっていたが、年末は他のバイトたちは帰省するため、崇と二人で水族馆のメンテナンスをしながら学んだ。やはり崇がする话はひと味违う。それに加え、若い顷に比べて好きな鱼の种类が変わってきた话や、热帯鱼が住む现地の生态についての话など、翼の兴味は尽きなかった。
崇は市内に自宅があり、そこから毎日车で通っている。本当は、自宅兼水族馆にしたかったらしいが、それだけは家族の猛反対に遭って谛めたらしい。今も、鱼の世话ばかりしていることをしょっちゅう咎められるのだと、翼にこぼした。
「そういえば、和希は実家に帰るつもりかな」
翼なら知っていると思ったのか、崇がそう言ったが、翼は首を横に振った。あの雪の日から、和希とは一度も连络を取っていない。こんなことは珍しかったが、あまりに和希に负担をかけていたことを反省した翼は、あえて连络を控えていた。
「こないだ昼时の忙しい时间に来やがってさ、何か相谈したいことがあるって言ってたけど闻いてやれなかったな……。あいつの相谈事はいつも面倒なんだよ、」
独り言なのか翼に语りかけているのか、水槽の中の珊瑚の配置を组み替えながら呟いている。崇の手が动くたびに、鱼たちがざわめいた。鱼の种类によっては、人の手を全く怖がらず、指先にまとわりついてくるものもあれば、怯えるあまり水槽の壁に激しくぶつかって気绝しそうになる臆病なものまで様々だ。大抵は、人影が通ると饵の时间だと勘违いして、水槽に近づけた指に群れて内侧からつついた。
「よし、今日はこのくらいにしとくか」
ようやく珊瑚の配置が决まって気が済んだらしく、崇はタオルで濡れた手を拭いて脚立を降りた。
「おまえがいてくれてホント助かるよ。できればずっとここにいて欲しいもんだ」
その言叶に、翼は嬉しくて涙を零した。言叶も记忆も无くして、自分の居场所が何処なのかも解らず、不安に押しつぶされそうになりながらも必死に耐えていた翼には、少しでも、自分を必要としてくれる人がいることが、心の支えだった。
「翼……」
崇は何も言わず、翼の肩を抱いて慰めた。身寄りのない者の孤独を、无理に理解しようとはせず、侧に谁かがいる温かさを与えようという姿势。それは最初から和希がそうしたように、翼の心に响いた。
「腹减ったな。今日はあいつの所に行って何か食べよう」
翼が泣き止むと、崇はそう言って水族馆を闭め、翼を车に乗せた。いつもとは逆の方向に走り出す车に、越えてはいけない结界を侵したような気分になる。翼の行动范囲はごく狭く、それは単に、记忆を无くして地理も解らない上に、自分が臆病だからだと思い込んでいた。しかし、远ざかって行く水族馆を後部座席から眺めながら、フッと心が軽くなったような、体が宙に浮くような不思议な感覚を味わい、それを心地良い、と思っていることに気がつく。ずっと前に感じたことがあるような、何かを思い出せそうな、そんな感覚。失った过去の景色が见えそうな気がして目を闭じたが、几重にもかかったベールが邪魔をして、街灯の残像が映っただけだった。
车が止まり、翼は崇に促されてその建物に入った。キャンドルの灯りが揺れて神秘的な店内には、嗅いだことのない、不思议な香りが漂って、まるで异世界に入り込んだような気分。様々な动物を象った、奇妙な置物が店のあちこちに饰られていて、翼の目をひいた。翼が座ったテーブルの横の壁には、丸い目を见开いた鸟のような生き物の面があり、今にも恐ろしい鸣き声を上げそうに见える。崇はそれを、インドネシアという国の神様が乗る鸟だと翼に教えた。壁のくぼみに并んだゾウは、インドの神様。よく见ると、体は人间のようだ。不思议なものが次々に目について、いつまでもキョロキョロと落ち着きのない翼を崇が咎めようとした顷、和希が姿を见せた。
「相変わらず待たせる店だな」
和希は二人の姿に惊いたように、
「崇さん、……翼も、」
「おまえもここに座れよ。もう终わりだろ?」
半ば强引に、和希を同じテーブルに座らせると、崇は席を立った。
「あいつに断ってくるわ」
そう言って厨房らしきところへ胜手に入って行く。
「崇さんと、ここのオーナーは友达なんだ。崇さんの绍介でバイトさせてもらってるんだよ」
向かい侧に座った和希がそう说明した。
「……久しぶりだね。元気にしてた?」
ほんの十日ほど会わなかっただけだったが、その笑颜も声も、すごく懐かしく感じる。
「俺もだよ、……意地を张らずに、连络すれば良かったな」
和希は翼の瞳から言叶を読み取り、自嘲するように言った。さらに、何か言おうとしたが、崇が戻って来るのを见て、口をつぐむ。
「今日の食事代は、おまえの给料から引いといてくれって頼んできた」
「ひどいよ、崇さん、」
冗谈だよ、と笑いながら、崇は和希を奥へ押しやってシートに腰挂けた。メニューを开いて目で追いながら、
「で、话って何だよ」
「……後でいいよ、」
「後って言ってると、また今度になるぞ?」
「……、」
その困ったような表情に、翼は、ふと自分がいてはできない话のような気がして、和希を窥った。
『外に出て待ってる、』
「いいよ、そんなことしなくても。ごめんな、気を遣わせて」
翼と和希のやりとりを、崇は感心したように眺め、
「何でおまえにだけコイツの言叶が解るんだ? 俺には目を见たって、何にも、……」
そう言ってジッと翼の目を见つめる。
「……鱼が泳いでるぞ、プリステラ、レモンテトラ、ブラックエンペラー……、地味な鱼ばっかりだな」
その言叶に翼は惊いた。崇も和希と同じように、翼の心を読むことができるのだ。
「翼の好きな鱼なんだって。……なんだ、俺だけが翼と会话できるんだと思ってたのにな」
少し寂しそうに、和希が言う。
「さっきまでは、できなかったんだよ。和希がいないとダメなのか?」
おかしいな、と首を倾げる崇に和希は、
「违うよ、多分。翼が、心を开いてくれてるかどうかだよ」
そう言って翼に微笑みかける。
「崇さんもやっと、翼に认めてもらえたってことさ」
得意げに言う和希の头を、生意気なヤツだな、と崇はメニューで叩いた。
店を出て、崇の车で送ってもらった翼は、ずっと返せずにいたコートと伞を持って戻った。和希はそれを受け取ると、しばらく考え、
「崇さん、俺、ここでいいや。ちょっと翼の家に寄るから」
「そうか、じゃあまたな」
崇は窓から二人に手を振って车を発进させた。そのランプが消えるまで见つめ、アパートの阶段を上って行く。键を开けて中に入ると、
「翼の部屋に来るの、すごく久しぶりだよな」
言われてみると、バイトをするようになってからは、ほとんど部屋で会っていない。
「……携帯って便利だけどさ、……会わなくて済んじゃうっていうのも、何か寂しいよね」
店で会ってからの和希の言叶は、今までと违って寂し気で、翼は何だか心配になった。崇に话があると言っていたのも、きっと何か悩みがあってのことなのだ。翼はキッチンでココアを作ってくれている和希を手伝いながら、その悩みを寻ねていいものかどうか考える。简単に口にできないということは、きっと、简単に触れてはいけない、そう判断できたが、ソファに腰挂けてからも、思い诘めたように黙っている和希の様子に不安になって、
『どうしたの?』
寻ねても、和希は取り缮うように微笑んで、何でもないよ、と首を横に振る。翼には、和希のように心を読む术が无く、ただ言叶にしてくれるのを待つしかなかった。しかし、まだ口にする気はないらしく、全く别のことを喋った。
「……明日から、実家に帰るんだ。って言っても、隣の県だから、近いんだけどね」
『崇さんが、実家に帰るのかどうか、気にしてた』
「ああ、多分、亲父に何か用事があるんだろ。自分で言えばいいのにさ、仲が良いんだか悪いんだか……」
いつものことだよ、と言って笑う。崇は普段、自分の兄弟のことなど口に出さないが、常に心の何処かには、その存在があるのだろう。翼は、自分の心の中の何処を探しても、肉亲の姿を见つけられなくて、言いようもなく寂しくなる。それを察したのか、和希は思いついたように、话题を変えた。
「そういえば、バイトのみんなとは、仲良くやってる?」
翼は颔いた。休憩时间に崇が作ってくれる食事はいつも美味しかったし、食べながらそれぞれが饲っている色んな鱼の话を闻くのも楽しかった。皆、水族馆で働くだけあって、海水、淡水にかかわらず鱼のことに详しい。鱼の名前も、バイト仲间から教わったのが殆どだった。
「良かった。翼は大人しいから、上手くやっていけるかどうか、心配してたんだ」
ホッとしたように言った。その表情から、ようやくいつもの彼に戻ったようで、翼もホッとする。改めて部屋を见渡した和希は、壁に星座だけでなく、鱼の絵が増えたことに気付き、
「翼は絵が上手だね。すごく特徴を捉えてる」
崇さんに见せたいよ、と褒めた。
和希が帰って行き、翼はまた画用纸に鱼の絵を描いていたが、どうしても落ち着かなくて携帯を取り出した。何を悩んでいるの?と入力したものの、悩んでいるのが自分のせいのような気がしていた翼は、送信することが出来ずに携帯を闭じる。自分は足手缠いに违いないのに、和希は持ち前の优しさで、面倒を见てくれている。寻ねても答えられないわけは、それが原因だから。悪いほうへ考え出すと、そうとしか思えなくなってきて、翼はまた、せっかく入力した携帯を闭じた。そんなことを缲り返していると、意外な人物からのメールが届いた。玲子だった。
『今何してるの? 暇だったら游ばない?』
地元がこの街である玲子は、帰省するというイベントもなくて年末は退屈だと言っていた。部屋に一人でいると余计なことを考えてしまうと判断した翼は、玲子の诱いに乗ることにした。迎えに来てくれると言うので窓から外を眺めて待っていると、やがて赤い车が前の道路に停まり、小さくクラクションを鸣らした。
「急に诱ってごめんね」
そう言って、车を走らせる。崇の车は大袈裟なエンジン音がしてよく揺れるが、玲子の车は静かで、振动も少なかった。それに、タバコの匂いではなく、甘いお菓子のような香りがする。
「夜のドライブ、一度行ってみたかったんだ。免许取ったばっかだから、谁も付き合ってくれないの」
かと言って、一人じゃ怖いし、と翼を诱った理由を述べ、どこに行きたい? と寻ねた。
「今はね、ナビがあるから、何処でも行けるんだよ」
近くのコンビニに车を停めた玲子は、小さな画面で何やら操作し、
「流星群が见れるって言ってたけど、もう终わっちゃったかな」
そう呟いて、ドライブと言ったら、山だよね、と同意を求めた。
二人はコンビニで饮み物を买い、その小さな画面が示す道を走り出した。少しの不安と、期待。知らない场所へ行くことの快感を、翼はまた感じていた。しかし、车がすれ违うのがやっとな细い山道は、一歩间违えたら暗闇に引きずり込まれそうで、急に怖くなった翼は玲子のほうを窥った。彼女はそんなことお构いなしで、もうすぐ顶上だよ、と嬉しそうに言って、さらにスピードを上げる。翼は再び、窓の外に目をやった。道の脇はガードレールも何もなく、ライトに照らし出される木々の太い干が、何処までも奥深く続く。その木の影に、何か恐ろしいものが潜んでいる気がした。それは车のライトが届かなくなった瞬间、姿を现して、袭いかかってくるに违いない。翼はとうとう恐怖に耐えきれず、ギュッと目をつむった。
どれくらい経ったのか、ようやく车が止まり、恐る恐る目を开けた翼は、そこが舗装された驻车场で、ちゃんと灯りがついていることに安心してホッと息を吐いた。玲子はそんな翼に呆れたような颜をする。しかし、玲子がスピードを上げてくれたおかげで、恐ろしいものに捕まらずに済んだのだかも知れない。翼は心の中で、玲子に感谢した。
辺りを见ると、他にも何台か车が停まっていて、下に见える夜景を眺めたりベンチで谈笑したりしている。时间が遅いためか、宝石箱のようにキラキラと辉いていた景色も、少しずつ、光を失っていった。
「ここの夜景、有名なんだって。カップルに人気らしいよ」
ちゃんと下调べをしてきたことをほのめかし、玲子は突然翼の手を握った。
「年下なんて、兴味なかったのに、……翼だけは何か违うのよね」
翼は事态が饮み込めず、何度も瞬きした。すると玲子は、解っているというふうに、
「初めてなんでしょ? こういうの、」
颔いた翼に、ぴったりと寄り添う。その态度も口调も、教室で话す玲子とは全く雰囲気が违っていて、别人なのではないかとさえ思えた。
「キスしていい?」
玲子は、何のことか解らず戸惑う翼をしばらく见つめていたが、やがて颜を近づけ、そっと唇を重ねた。繋いだままの手に、少しだけ力が入る。
「别に私のこと、好きにならなくてもいいよ。カレシいるから」
翼には、その言叶の意味もよく解らず、ただ玲子の目を见つめる。
「でも、ホントは、好きになってほしいのかな……」
そう言って、今度は翼をギュッと抱きしめた。
帰り道、何も言わなかった玲子だが、翼のアパートの前まで来ると、
「ねえ、私のこと、嫌いになった?」
と、いつになく不安げな表情で寻ねた。翼はその根拠も解らず、首を横に振る。
「良かった。また诱っていい?」
颔くと、玲子は安心したように微笑み、じゃあまたね、と手を振って帰って行った。うっすらと明け始めた空に、思ったより时间が経っていることを知った翼は、いつもと违う経験に少しは気が纷れたことに満足して、部屋に戻った。
冬休みになり、翼の生活は、アパートと水族馆を行き来するだけになった。鱼の世话というのは意外に大変なもので、水族馆が休みであろうと水质のチェックをすることは欠かせない。それに加えて普段はできない部分の扫除や水草の手入れなど、やることはいくらでもあった。
「饵は二、三日やらなくてもどうってことはないんだよ」
崇はそう言って、逆に与えすぎるほうが良くないことを教えた。食べ残しで早く水质が悪化するのだそうだ。
「目の前に一杯弁当があっても、食べきれないだろ?残しておいても腐っていってしまうしさ。それと同じだよ」
なるほど、と翼でもすぐに纳得できる说明をしてくれる。普段はバイト同士で水槽の扫除をしていて、その时にいろいろ鱼の知识を分けてもらっていたが、年末は他のバイトたちは帰省するため、崇と二人で水族馆のメンテナンスをしながら学んだ。やはり崇がする话はひと味违う。それに加え、若い顷に比べて好きな鱼の种类が変わってきた话や、热帯鱼が住む现地の生态についての话など、翼の兴味は尽きなかった。
崇は市内に自宅があり、そこから毎日车で通っている。本当は、自宅兼水族馆にしたかったらしいが、それだけは家族の猛反対に遭って谛めたらしい。今も、鱼の世话ばかりしていることをしょっちゅう咎められるのだと、翼にこぼした。
「そういえば、和希は実家に帰るつもりかな」
翼なら知っていると思ったのか、崇がそう言ったが、翼は首を横に振った。あの雪の日から、和希とは一度も连络を取っていない。こんなことは珍しかったが、あまりに和希に负担をかけていたことを反省した翼は、あえて连络を控えていた。
「こないだ昼时の忙しい时间に来やがってさ、何か相谈したいことがあるって言ってたけど闻いてやれなかったな……。あいつの相谈事はいつも面倒なんだよ、」
独り言なのか翼に语りかけているのか、水槽の中の珊瑚の配置を组み替えながら呟いている。崇の手が动くたびに、鱼たちがざわめいた。鱼の种类によっては、人の手を全く怖がらず、指先にまとわりついてくるものもあれば、怯えるあまり水槽の壁に激しくぶつかって気绝しそうになる臆病なものまで様々だ。大抵は、人影が通ると饵の时间だと勘违いして、水槽に近づけた指に群れて内侧からつついた。
「よし、今日はこのくらいにしとくか」
ようやく珊瑚の配置が决まって気が済んだらしく、崇はタオルで濡れた手を拭いて脚立を降りた。
「おまえがいてくれてホント助かるよ。できればずっとここにいて欲しいもんだ」
その言叶に、翼は嬉しくて涙を零した。言叶も记忆も无くして、自分の居场所が何処なのかも解らず、不安に押しつぶされそうになりながらも必死に耐えていた翼には、少しでも、自分を必要としてくれる人がいることが、心の支えだった。
「翼……」
崇は何も言わず、翼の肩を抱いて慰めた。身寄りのない者の孤独を、无理に理解しようとはせず、侧に谁かがいる温かさを与えようという姿势。それは最初から和希がそうしたように、翼の心に响いた。
「腹减ったな。今日はあいつの所に行って何か食べよう」
翼が泣き止むと、崇はそう言って水族馆を闭め、翼を车に乗せた。いつもとは逆の方向に走り出す车に、越えてはいけない结界を侵したような気分になる。翼の行动范囲はごく狭く、それは単に、记忆を无くして地理も解らない上に、自分が臆病だからだと思い込んでいた。しかし、远ざかって行く水族馆を後部座席から眺めながら、フッと心が軽くなったような、体が宙に浮くような不思议な感覚を味わい、それを心地良い、と思っていることに気がつく。ずっと前に感じたことがあるような、何かを思い出せそうな、そんな感覚。失った过去の景色が见えそうな気がして目を闭じたが、几重にもかかったベールが邪魔をして、街灯の残像が映っただけだった。
车が止まり、翼は崇に促されてその建物に入った。キャンドルの灯りが揺れて神秘的な店内には、嗅いだことのない、不思议な香りが漂って、まるで异世界に入り込んだような気分。様々な动物を象った、奇妙な置物が店のあちこちに饰られていて、翼の目をひいた。翼が座ったテーブルの横の壁には、丸い目を见开いた鸟のような生き物の面があり、今にも恐ろしい鸣き声を上げそうに见える。崇はそれを、インドネシアという国の神様が乗る鸟だと翼に教えた。壁のくぼみに并んだゾウは、インドの神様。よく见ると、体は人间のようだ。不思议なものが次々に目について、いつまでもキョロキョロと落ち着きのない翼を崇が咎めようとした顷、和希が姿を见せた。
「相変わらず待たせる店だな」
和希は二人の姿に惊いたように、
「崇さん、……翼も、」
「おまえもここに座れよ。もう终わりだろ?」
半ば强引に、和希を同じテーブルに座らせると、崇は席を立った。
「あいつに断ってくるわ」
そう言って厨房らしきところへ胜手に入って行く。
「崇さんと、ここのオーナーは友达なんだ。崇さんの绍介でバイトさせてもらってるんだよ」
向かい侧に座った和希がそう说明した。
「……久しぶりだね。元気にしてた?」
ほんの十日ほど会わなかっただけだったが、その笑颜も声も、すごく懐かしく感じる。
「俺もだよ、……意地を张らずに、连络すれば良かったな」
和希は翼の瞳から言叶を読み取り、自嘲するように言った。さらに、何か言おうとしたが、崇が戻って来るのを见て、口をつぐむ。
「今日の食事代は、おまえの给料から引いといてくれって頼んできた」
「ひどいよ、崇さん、」
冗谈だよ、と笑いながら、崇は和希を奥へ押しやってシートに腰挂けた。メニューを开いて目で追いながら、
「で、话って何だよ」
「……後でいいよ、」
「後って言ってると、また今度になるぞ?」
「……、」
その困ったような表情に、翼は、ふと自分がいてはできない话のような気がして、和希を窥った。
『外に出て待ってる、』
「いいよ、そんなことしなくても。ごめんな、気を遣わせて」
翼と和希のやりとりを、崇は感心したように眺め、
「何でおまえにだけコイツの言叶が解るんだ? 俺には目を见たって、何にも、……」
そう言ってジッと翼の目を见つめる。
「……鱼が泳いでるぞ、プリステラ、レモンテトラ、ブラックエンペラー……、地味な鱼ばっかりだな」
その言叶に翼は惊いた。崇も和希と同じように、翼の心を読むことができるのだ。
「翼の好きな鱼なんだって。……なんだ、俺だけが翼と会话できるんだと思ってたのにな」
少し寂しそうに、和希が言う。
「さっきまでは、できなかったんだよ。和希がいないとダメなのか?」
おかしいな、と首を倾げる崇に和希は、
「违うよ、多分。翼が、心を开いてくれてるかどうかだよ」
そう言って翼に微笑みかける。
「崇さんもやっと、翼に认めてもらえたってことさ」
得意げに言う和希の头を、生意気なヤツだな、と崇はメニューで叩いた。
店を出て、崇の车で送ってもらった翼は、ずっと返せずにいたコートと伞を持って戻った。和希はそれを受け取ると、しばらく考え、
「崇さん、俺、ここでいいや。ちょっと翼の家に寄るから」
「そうか、じゃあまたな」
崇は窓から二人に手を振って车を発进させた。そのランプが消えるまで见つめ、アパートの阶段を上って行く。键を开けて中に入ると、
「翼の部屋に来るの、すごく久しぶりだよな」
言われてみると、バイトをするようになってからは、ほとんど部屋で会っていない。
「……携帯って便利だけどさ、……会わなくて済んじゃうっていうのも、何か寂しいよね」
店で会ってからの和希の言叶は、今までと违って寂し気で、翼は何だか心配になった。崇に话があると言っていたのも、きっと何か悩みがあってのことなのだ。翼はキッチンでココアを作ってくれている和希を手伝いながら、その悩みを寻ねていいものかどうか考える。简単に口にできないということは、きっと、简単に触れてはいけない、そう判断できたが、ソファに腰挂けてからも、思い诘めたように黙っている和希の様子に不安になって、
『どうしたの?』
寻ねても、和希は取り缮うように微笑んで、何でもないよ、と首を横に振る。翼には、和希のように心を読む术が无く、ただ言叶にしてくれるのを待つしかなかった。しかし、まだ口にする気はないらしく、全く别のことを喋った。
「……明日から、実家に帰るんだ。って言っても、隣の県だから、近いんだけどね」
『崇さんが、実家に帰るのかどうか、気にしてた』
「ああ、多分、亲父に何か用事があるんだろ。自分で言えばいいのにさ、仲が良いんだか悪いんだか……」
いつものことだよ、と言って笑う。崇は普段、自分の兄弟のことなど口に出さないが、常に心の何処かには、その存在があるのだろう。翼は、自分の心の中の何処を探しても、肉亲の姿を见つけられなくて、言いようもなく寂しくなる。それを察したのか、和希は思いついたように、话题を変えた。
「そういえば、バイトのみんなとは、仲良くやってる?」
翼は颔いた。休憩时间に崇が作ってくれる食事はいつも美味しかったし、食べながらそれぞれが饲っている色んな鱼の话を闻くのも楽しかった。皆、水族馆で働くだけあって、海水、淡水にかかわらず鱼のことに详しい。鱼の名前も、バイト仲间から教わったのが殆どだった。
「良かった。翼は大人しいから、上手くやっていけるかどうか、心配してたんだ」
ホッとしたように言った。その表情から、ようやくいつもの彼に戻ったようで、翼もホッとする。改めて部屋を见渡した和希は、壁に星座だけでなく、鱼の絵が増えたことに気付き、
「翼は絵が上手だね。すごく特徴を捉えてる」
崇さんに见せたいよ、と褒めた。
和希が帰って行き、翼はまた画用纸に鱼の絵を描いていたが、どうしても落ち着かなくて携帯を取り出した。何を悩んでいるの?と入力したものの、悩んでいるのが自分のせいのような気がしていた翼は、送信することが出来ずに携帯を闭じる。自分は足手缠いに违いないのに、和希は持ち前の优しさで、面倒を见てくれている。寻ねても答えられないわけは、それが原因だから。悪いほうへ考え出すと、そうとしか思えなくなってきて、翼はまた、せっかく入力した携帯を闭じた。そんなことを缲り返していると、意外な人物からのメールが届いた。玲子だった。
『今何してるの? 暇だったら游ばない?』
地元がこの街である玲子は、帰省するというイベントもなくて年末は退屈だと言っていた。部屋に一人でいると余计なことを考えてしまうと判断した翼は、玲子の诱いに乗ることにした。迎えに来てくれると言うので窓から外を眺めて待っていると、やがて赤い车が前の道路に停まり、小さくクラクションを鸣らした。
「急に诱ってごめんね」
そう言って、车を走らせる。崇の车は大袈裟なエンジン音がしてよく揺れるが、玲子の车は静かで、振动も少なかった。それに、タバコの匂いではなく、甘いお菓子のような香りがする。
「夜のドライブ、一度行ってみたかったんだ。免许取ったばっかだから、谁も付き合ってくれないの」
かと言って、一人じゃ怖いし、と翼を诱った理由を述べ、どこに行きたい? と寻ねた。
「今はね、ナビがあるから、何処でも行けるんだよ」
近くのコンビニに车を停めた玲子は、小さな画面で何やら操作し、
「流星群が见れるって言ってたけど、もう终わっちゃったかな」
そう呟いて、ドライブと言ったら、山だよね、と同意を求めた。
二人はコンビニで饮み物を买い、その小さな画面が示す道を走り出した。少しの不安と、期待。知らない场所へ行くことの快感を、翼はまた感じていた。しかし、车がすれ违うのがやっとな细い山道は、一歩间违えたら暗闇に引きずり込まれそうで、急に怖くなった翼は玲子のほうを窥った。彼女はそんなことお构いなしで、もうすぐ顶上だよ、と嬉しそうに言って、さらにスピードを上げる。翼は再び、窓の外に目をやった。道の脇はガードレールも何もなく、ライトに照らし出される木々の太い干が、何処までも奥深く続く。その木の影に、何か恐ろしいものが潜んでいる気がした。それは车のライトが届かなくなった瞬间、姿を现して、袭いかかってくるに违いない。翼はとうとう恐怖に耐えきれず、ギュッと目をつむった。
どれくらい経ったのか、ようやく车が止まり、恐る恐る目を开けた翼は、そこが舗装された驻车场で、ちゃんと灯りがついていることに安心してホッと息を吐いた。玲子はそんな翼に呆れたような颜をする。しかし、玲子がスピードを上げてくれたおかげで、恐ろしいものに捕まらずに済んだのだかも知れない。翼は心の中で、玲子に感谢した。
辺りを见ると、他にも何台か车が停まっていて、下に见える夜景を眺めたりベンチで谈笑したりしている。时间が遅いためか、宝石箱のようにキラキラと辉いていた景色も、少しずつ、光を失っていった。
「ここの夜景、有名なんだって。カップルに人気らしいよ」
ちゃんと下调べをしてきたことをほのめかし、玲子は突然翼の手を握った。
「年下なんて、兴味なかったのに、……翼だけは何か违うのよね」
翼は事态が饮み込めず、何度も瞬きした。すると玲子は、解っているというふうに、
「初めてなんでしょ? こういうの、」
颔いた翼に、ぴったりと寄り添う。その态度も口调も、教室で话す玲子とは全く雰囲気が违っていて、别人なのではないかとさえ思えた。
「キスしていい?」
玲子は、何のことか解らず戸惑う翼をしばらく见つめていたが、やがて颜を近づけ、そっと唇を重ねた。繋いだままの手に、少しだけ力が入る。
「别に私のこと、好きにならなくてもいいよ。カレシいるから」
翼には、その言叶の意味もよく解らず、ただ玲子の目を见つめる。
「でも、ホントは、好きになってほしいのかな……」
そう言って、今度は翼をギュッと抱きしめた。
帰り道、何も言わなかった玲子だが、翼のアパートの前まで来ると、
「ねえ、私のこと、嫌いになった?」
と、いつになく不安げな表情で寻ねた。翼はその根拠も解らず、首を横に振る。
「良かった。また诱っていい?」
颔くと、玲子は安心したように微笑み、じゃあまたね、と手を振って帰って行った。うっすらと明け始めた空に、思ったより时间が経っていることを知った翼は、いつもと违う経験に少しは気が纷れたことに満足して、部屋に戻った。
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